$(R, T)$ を平面三項環とする.
$a\oplus b := T(1, a, b)$ と定義する. これは一般に結合的でも可換でもない.
$(R, \oplus)$ は $0$ を単位元とするループである.
$a\oplus 0 = T(1, a, 0) = a, 0\oplus a = T(1, 0, a) = a$ 故 $0$ は単位元である.
公理 3 により $a\oplus x = T(1, a, x) = b$ となる $x$ はただ一つ存在する.
公理 5 により方程式 $$\begin{alignat}{2} x\oplus y &= T(1, x, y) & &= b, \\ y &= T(0, x, y) & &= a \end{alignat}$$ はただ一つの解を持つから, 結局 $x\oplus a = b$ となる $x$ がただ一つ存在する.
よって $(R, \oplus)$ はループである. (証明終)
$a\otimes b := T(a, b, 0)$ と定義する. これも一般に結合的でも可換でもない.
$R^* := R\setminus \{0\}$ とすると $(R^*, \otimes)$ は $1$ を単位元とするループである.
$R^*$ は $\otimes$ について閉じている. 実際 $a\ne 0, b\ne 0$ で $a\otimes b = 0$ とすると方程式 $$T(x, b, 0) = 0 = T(x, 0, 0)$$ は少なくとも $x = 0$ と $x = a$ の二つをを解として持つので公理 4 に矛盾する.
以下は $a, b\ne 0$ とする.
$a\otimes 1 = T(a, 1, 0) = a, 1\otimes a = T(1, a, 0) = a$ 故 $1$ は単位元である.
公理 5 により方程式 $$\begin{alignat}{2} & & T(a, x, y) &= b, \\ y &= \, & T(0, x, y) &= 0 \end{alignat}$$ はただ一つの解を持つから, 結局 $a\otimes x = T(a, x, 0) = b$ となる $x$ がただ一つ存在する.
公理 4 により $$x\otimes a = T(x, a, 0) = T(x, 0, b) = b$$ となる $x$ もただ一つ存在する.
よって $(R^*, \otimes)$ はループである. (証明終)
上記 $\oplus, \otimes$ を用いて $T(a, b, c) = (a\otimes b)\oplus c$ と書けるとき, $(R, T)$ は線型三項環であるという.