位数 $2pq$ の群

$|G| = 2pq$ のとき, Sylow の定理により $G$ の Sylow $p$-部分群 $H$ が存在する. また, Sylow $q$-部分群 $N$ も存在する. このとき $H, N$ の少なくとも一方は正規部分群になる. なぜなら, どちらも正規でないとすると位数がちょうど $p$ の元が少なくとも $q(p - 1)$ 個, 位数ががちょうど $q$ の元が $2p(q - 1)$ 個存在するため, 群の位数を超えてしまう.

$H, N$ の少なくとも一方は正規部分群なので, $HN$ は $G$ の部分群で位数は $pq$ である. 従って $HN$ は指数 $2$ の部分群だから正規部分群である.

$q \not\equiv 1 \pmod{p}$ のとき

このとき $HN \cong C_{pq} \cong C_p \times C_q$ である. 半直積 $G \cong C_2 \rtimes_\varphi C_{pq}$ を決定する準同型 $$\varphi \colon C_2 \to \mathrm{Aut}(C_{pq}) \cong \ \mathrm{Aut}(C_p) \times \mathrm{Aut}(C_q) \cong C_{p - 1} \times C_{q - 1}$$ の位数 $2$ の元を考えることで, 自明な半直積の場合を含め以下の四通りが考えられる. 中心を考えることにより, これらは互いに同型でないことがわかる.

結論

$q \equiv 1 \pmod{p}$ のとき

$H$ が正規の場合は $HN \cong C_{pq}$ となるので上記の場合に帰着される.

$N$ が正規の場合, 短完全列 $$\{ 1 \} \to N \to G \to G/N \to \{ 1 \}$$ は $|N| = q$ と $|G/N| = 2p$ が互いに素なので分裂する. 従って $G/N$ に同型な $G$ の部分群 $K$ が存在して $G \cong N \rtimes K$ となる.

$K \cong C_{2p}$ のとき

$$N = \langle a \ | \ a^q = 1 \rangle, K = \langle b, c \ | \ b^p = c^2 = 1, bc = cb \rangle$$ とおく.

非自明な半直積を決定するため, 準同型 $$\varphi \colon K \to \mathrm{Aut}(N) \cong C_{q - 1}$$ を考える.

$K \cong D_{2p}$ のとき

$$K = \langle b, c \ | b^p = c^2 = 1, c^{-1}bc = b^{-1} \rangle$$ とおく. このとき $$\begin{align} \varphi(b)^{-1} &= \varphi(b^{-1}) \\ &= \varphi(c^{-1}bc) \\ &= \varphi(c^{-1})\varphi(b)\varphi(c) \\ &= \varphi(c)^{-1}\varphi(b)\varphi(c) \\ &= \varphi(b) \end{align}$$ なので, 位数の関係から $\varphi(b)$ は常に自明となる. 従って $\varphi(c)$ が非自明な場合だけが問題となるが, 簡単な考察でそれは $D_{2pq}$ に同型となることがわかる($\langle a, b \rangle \cong \langle ab \rangle \cong C_{pq}$ への $c$ の作用を考えよ).

結論

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