位数 $105$ の群

$105 = 3 \cdot 5 \cdot 7$ で Sylow $7$-部分群が存在する.

仮に Sylow $7$-部分群が正規でないとすると, Sylow $7$-部分群は $15$ 個存在するので, 位数がちょうど $7$ の元が $15(7 - 1) = 90$ 個存在する. このとき Sylow $5$-部分群は正規である. 実際, Sylow $5$-部分群が正規でないとすると, それは $21$ 個存在するので, 位数がちょうど $5$ の元が $21(5 - 1) = 84$ 個存在することになるからである. さらにこのときは Sylow $3$-部分群も正規である. 実際, Sylow $3$-部分群が正規でないとすると, それは $7$ 個存在するので, 位数がちょうど $3$ の元が $7(3 - 1) = 14$ 個存在する. 既に位数がちょうど $5$ の元が $5 - 1 = 4$ 個存在することを合わせると, これは不合理である.

従って, Sylow $7$-部分群が正規でないとすると位数 $15$ の正規部分群が存在することになり, $G \cong C_{15} \rtimes C_7$ となるが, $\mathrm{Aut}(C_{15}) \cong C_2 \times C_4$ は位数が $7$ の元を含まないので半直積は自明で $G \cong C_{15} \times C_7 = C_{105}$ になる. これは Sylow $7$-部分群が正規でないという仮定に反する.

以下, Sylow $7$-部分群(正規部分群)を $N$ とおく. 短完全列 $$\{ 1 \} \to N \to G \to G/N \to \{ 1 \}$$ において, $|N| = 7$ と $|G/N| = 15$ は互いに素なので分裂する. 従って $G/N$ と同型な部分群 $H$ があって $G \cong N \rtimes H$ となる. $N \cong C_7, H \cong C_{15}$ である.

非自明な半直積を導く準同型 $$\varphi \colon H \to \mathrm{Aut}(N)$$ を考えると, $H$ の生成元 $y$ に対応すべき非自明な $\mathrm{Aut}(N) \cong C_6$ の元として考えられるのは, 位数が $15$ の約数でなければならないことから, $N$ の生成元を $x$ とおくとき $x \mapsto x^2$ しか(共役を除いては)ありえない. よって非自明な半直積は $$G = \langle x, y \ | \ x^7 = y^{15} = 1, y^{-1}xy = x^2 \rangle$$ のみである.

なお, 上記表示において $\langle y^3 \rangle = Z(G)$ かつ $\langle x, y^3 \rangle \lhd G$ である. $xy^3 (= y^3 x) = a, y^5 = b$ とおくと $a^{35} = 1, b^3 = 1$ で $$\begin{align} b^{-1}ab &= y^{-5}(y^3x)y^5 \\ &= (y^{-2}xy^2)y^3 \\ &= (y^{-1}x^2 y)y^3 \\ &= (y^{-1}xy)^2 y^3 \\ &= x^4 y^3 \\ &= a^{11} \end{align}$$ なので $$G = \langle a, b \ | \ a^{35} = b^3 = 1, b^{-1}ab = a^{11} \rangle$$ と表すこともできる(実際のところ $$G = C_5 \times \langle u, v \ | \ u^7 = v^3 = 1, v^{-1}uv = u^2 \rangle$$ である).

結論

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