2-圏

2-圏の定義

$C$ が2-圏であるとは, $C$ に圏としての二つの構造

が入っていて, それぞれが圏としての公理を満たすほかに

という条件を満たすものである. 「水平構造と垂直構造は可換」の意味は $$s_\star s_\circ = s_\circ s_\star, s_\star t_\circ = t_\circ s_\star, \ t_\star s_\circ = s_\circ t_\star, t_\star t_\circ = t_\circ t_\star$$ に加え

が, 両辺が定義されるとき成り立っていることを意味する. $s_\star x, t_\star x$ は水平構造についての恒等射になるので, 垂直構造についても恒等射になる. 故に $$s_\circ s_\star = s_\star, t_\circ s_\star = s_\star, s_\circ t_\star = t_\star, \ t_\circ t_\star = t_\star$$ が成り立つ. 従って $$s_\star s_\circ = s_\star, s_\star t_\circ = s_\star, t_\star s_\circ = t_\star, \ t_\star t_\circ = t_\star$$ が成り立つ.

0-射, 1-射, 2-射

2-圏 $C$ の元は基本的に2-射(変換)と呼ぶが, 特に水平構造についての恒等射を0-射(対象)という. また, 垂直構造についての恒等射を1-射(射)という.

2-圏の例

我々は既に重要な2-圏の例を見ている. それは全ての圏からなる圏 $\mathbf{CAT}$ である. 対象は圏, 射は函手, 変換は自然変換である.

一つ自明ではない例を挙げよう. $\mathbf{Top}$ において $f, g$ を $X$ から $Y$ への射とするとき, 連続写像 $H \colon X \times [0, 1] \to Y$ で $H(x, 0) = f(x), H(x, 1) = g(x)$ なるものがあるときこれをホモトピーというのであったが, $H$ のホモトピー類を $f$ から $g$ への変換と見れば2-圏になる. ホモトピー類を取らないと(期待される)垂直合成が結合律を満たさない点が要注意である.

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